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シャンのいろいろ2

リニューアルしました

サクッと見直すRiemann積分とLebesgue積分のつながり

前回があまりにもクソみたいな話だったので, 今回は少しは実用的な話をしようと思います.

解析学が得意なフレンズはよく使っていらっしゃるでしょうLebesgue積分なのですが, ふとしたときにRiemann積分を思い出すときもありますよね?もちろんRiemann積分のアイデアは他の概念にも応用できるポイントを多く含んでるので, 優劣をつけるというのはナンセンスだと思いますが, やはり通常の関数についてのLebesgue積分は狭義Riemann積分の完全な拡張になっているのは事実です. 

そこで今回はそんな事実, Lebesgue積分が狭義Riemann積分の拡張になっていることを復習していきたいと思います. 

 

一般の \mathbb{R}^N についてもほぼ同様に議論ができるため, 1次元で考えていきます.

区別と便宜のため, 有界区間  I = [a,b] 上の 関数  f(x) の  I 上におけるRiemann積分およびLebesgue積分をそれぞれ

\begin{eqnarray}
\text{R}\int f (x)\ dx, \ \ \text{L} \int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

と書くことにしましょう. また, 以下では常に積分範囲は  I 上であるものとし, 単にRiemann積分可能と言ったら狭義Riemann積分可能であることを指すこととします.

まず, ここで用いるRiemann積分について成り立つ事実を記号の確認も兼ねて復習しておきます.

Review 

 f(x) がRiemann積分可能であれば  f有界である. そこで m:= \inf_{x \in I} f(x),  M:= \sup_{x \in I}f(x) としておく.

区間  I n 等分した点を

\begin{eqnarray}
a=a_{n,0}<a_{n,1}<\cdots<a_{n,n-1}<a_{n,n}=b
\end{eqnarray}

として, 各  k=1,\cdots,n について  [a_{n,k-1},a_{n,k}] における  f の上限, 下限をそれぞれ  M_{n,k},  m_{n,k} とする. 更に

\begin{eqnarray}
s_n:=\sum_{k=1}^n m_{n,k}\frac{b-a}{n},\ \ S_n:= \sum_{k=1}^n M_{n,k}\frac{b-a}{n}
\end{eqnarray}

とすれば, このとき

\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty}s_n = \lim_{n \to \infty}S_n = \text{R}\int f(x)\ dx.
\end{eqnarray}

 以下,  f をRiemann積分可能とします. これがLebesgue積分可能であることを示すために, 次のようなある種"ズルい"関数 \varphi_n,  \psi_nを用意します.

\begin{eqnarray}
\varphi_n(a) := f(a),\ \varphi_n(x) := m_{n,k}\ (a_{n,k - 1} < x \le a_{n,k}), \\ \psi_n(a)  := f(a),\ \psi_n(x) := M_{n,k}\ (a_{n,k - 1} < x \le a_{n,k}).
\end{eqnarray}

 定義をよく見てみれば  \varphi_n,  \psi_n は次の性質を持ちます.

  •  \varphi_n(x) \psi_n(x) はBorel可測.これより特にLebesgue可測. 
  •  x \in I について  m \le \varphi_n(x) \le f(x) \le \psi_n(x) \le M.
  •  x \in I について,  \{\varphi_n(x)\}_{n=1}^\infty と  \{\psi_n(x)\}_{n=1}^\infty はそれぞれ単調増加, 単調減少.

これにより,  \displaystyle \varphi(x) := \lim_{n \to \infty}\varphi_n(x),\ \psi(x) := \lim_{n \to \infty} \psi_n(x)が存在し, 任意の  n \in \mathbb{N},\ x \in I に対して

\begin{eqnarray}
m \le \varphi_n(x) \le \varphi(x) \le f(x) \le \psi(x) \le \psi_n(x) \le M \tag{#}
\end{eqnarray}

 が成り立ちます. 

この不等式から \varphi_n,  \psi_n,  \varphi,  \psi はどれもLebesgue積分可能だということがわかります.

ここで, Lebesgue積分の強力な飛び道具である単調収束定理を用いれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \varphi(x)\ dx = \lim_{n \to \infty} \text{L}\int \varphi_n(x)\ dx, \\
\text{L}\int \psi(x)\ dx = \lim_{n \to \infty} \text{L}\int \psi_n(x)\ dx
\end{eqnarray}

がわかります.

一方, 定義に基づいて計算すれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \varphi_n(x)\ dx = s_n,\ \text{L}\int \psi_n(x)\ dx = S_n \tag{##}
\end{eqnarray}

となります.  f はRiemann積分可能であったことを思い出せば  \displaystyle \lim_{n \to \infty}s_n = \lim_{n \to \infty}S_n だったので,  \varphi_n(x) \le \psi_n(x) も用いれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \left|\psi(x) - \varphi(x) \right|\ dx &=& \text{L}\int  \{\psi(x) - \varphi(x)  \}\ dx \\
&=& \lim_{n \to \infty}(S_n - s_n) \\
&=& 0.
\end{eqnarray}

このことから  \varphi(x) = \psi(x)\ (\text{a.e. }x \in I) がわかります. 更に  (\text{#}) を見てみれば

\begin{eqnarray}
\varphi(x) = f(x) = \psi(x)\ \text{a.e. }x \in I
\end{eqnarray}

がわかります. 

 \varphi \psi がLebesgue可測であったことから,  f もLebesgue可測であることがわかります.

 更に再び  (\text{#}) (\text{##}) を用いれば, 任意の  n \in \mathbb{N} に対して

\begin{eqnarray}
s_n = \text{L}\int \varphi_n(x) dx \le \text{L} \int f(x)\ dx \le \text{L} \int \psi_n(x)\ dx = S_n
\end{eqnarray}

 が成り立ちますが,  f はRiemann積分可能であったから

\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty} s_n = \lim_{n \to \infty} S_n = \text{R}\int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

です. 従ってはさみうちの原理から

\begin{eqnarray}
\text{L}\int f (x)\ dx = \text{R} \int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

が得られます. つまり, Lebesgue積分は真に(狭義)Riemann積分の拡張になっていることが確かめられました.

 

ここでは有界区間での議論に限定していましたが, 実は無限区間における広義Riemann積分も少しだけ条件を満たしていればきちんとLebesgue積分がその拡張であることが示されます. しかし, Lebesgue積分可能でなくても広義Riemann積分可能であるような関数は少なくないです. 応用上ではDirichlet積分(ディリクレ積分 - Wikipedia)が有名です. また, Lebesgue積分(測度論)の観点からRiemann積分可能であることと同値な条件が「ほとんど至るところ連続である」ことであることがわかります. これについてはまた気が向いたら書こうかと思います.

一気に書いたんで誤字脱字理論的ガバが多くあると思うのでもし気づいていただけたらご指摘くださればと思います...

 

魔剤語法で学ぶ関数と写像(新入生でも思考停止で読めるクソ記事)

注意:この記事では関数と写像についてきちんと学べません

 

さて, 先日ボソッと言ったように新学期な感じがするゆったり記事です. 

新入生と言ったら「微分積分」, 「線形代数」 がメジャーだとは思いますが, これらをやるにもある程度必要となる概念が集合と写像についてです. そこで今回はネットでしばしば見られる,通称"魔剤語法"を題材に集合と写像のうち「写像」について少しだけ勉強していきましょう.

 

1. 関数とは

関数という言葉は高校でも慣れ親しんだものだと思います. 2次関数, 三角関数, 指数関数, 対数関数...とまあこんなもんでしょうか. 名前はそこそこ聞いてきたことと思います. しかし, いざ関数とはなにかと問われるとはっきりはわからないなあという人が多いかと思います. 

関数というものをきちんとした言葉で説明しようとすると次のようになります;

 Def (関数)

関数とは, ある決められた範囲(定義域)の中ある数  x をひとつ決めたとき, 数  y=f(x) がひとつに決まる対応  f のことである.

何を言ってるのかちょっとよくわからないですね.  実は, きちんと説明しすぎると逆に実態がつかみにくくなってしまうのは数学を勉強し始めた頃にはよくある話です. なのでよく知っているものから例を挙げてみましょう.

例えば, ぼくたちが今までも「関数」と呼んでいるものを考えます. ここでは簡単にして1次関数にしてみましょう. 

いままで習ってきた書き方だと, 

\begin{eqnarray}
f(x) = 2x+1
\end{eqnarray}

 のようになります. これを先程の定義になぞらえてみましょう.

たとえば  x=2 としてみると,   2\cdot 2+ 1 = 5 が対応する数  f(x) として与えられます. 同じようにして x=3,4,5,6,... としていくと  f(x) としてそれぞれ  7,9,11,13,... が対応します. つまり, 今まで関数として習ってきたのものはきちんとした意味でも関数になっていたんですね.

 

逆に, 関数でないものについても少しだけ言及しておきます. 

例えば, ある数  x に対して,  x より小さい数を与えるような対応を考えてみると, これは関数ではありません. 例えば 100より小さい数なんて無数にあるので, 対応する数が一つに決まらないからです. 

また当たり前ですが,対応の規則が個人の主観によるものは関数とは言いません. 好きな数だったらこうで嫌いな数だったら...なんてのは数学では扱わないです.

実は, 関数というのはこの「一つに決まる対応」というのが大事なポイントなんですね.

 

2. 写像とは

先程から見直してきた関数を少し一般化してみましょう. 関数はある数に対応させていましたが, この世の中には数で表せないものも多くあります. そのようなもの同士の間にも対応というのはありますよね. そんなイメージを言葉にすると次のようになります;

 Def (写像)

写像とは, ある集合  X の要素  x をひとつ決めたとき, またある集合  Y の要素  y = f(x) がひとつに決まる対応  f のことである.

扱っているものが抽象的になっているだけで, 根っこの部分は関数の説明と同じなんですね. しかしながら抽象的な集合が出てきてしまったことで親近感がなくなってしまったかもしれませんねえ.

でも実は, 高校数学では名前こそ出ないものの写像になっているものがいくつかあります. わかりやすい例としては数列があります. 数列というものを落ち着いて考えてみると, あれってひとつの自然数に対してある数(実数や複素数)を対応させているものだと見ることができますね. 

けど, 写像とかかっこよく一般化しても結局は数字に関するお話なんでしょ?と思ってる方もいらっしゃるかと思いますが, そこでようやくフラグを回収するんですよ.

 

3. 魔剤語法を写像として見る

写像の説明をしたことでようやく本題に入れます. 実は, タイトルでうっすら読み取れるとおり, 「魔剤語法」は写像になっています.

・・・そもそも魔剤語法ってなあに?という方のために一応その説明しておきます.

 Term (魔剤) 

1. 「マジ」の意.

2. エナジードリンク, 特にモンスターエナジー.

(アニヲタWiki(仮)(https://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/)より一部引用)

 上の1. の用法を他の言葉にも応用した言葉遣いを総称して「魔剤語法」と呼んでいます(この呼び方は公式なものではないですが, 界隈の方には十分通じる呼称だと思われます, 他には魔剤変換と呼んでる方も多くいらっしゃいます).

文字に起こすとどのように応用した語法なのかよくわからないので, まずはこの語法を実際に使ってみましょう. 名前の通りなのですが, 「マジ」は「魔剤(マザイ)」に変換されます.  それ以外には, 「東(ヒガシ)」を変換してみると「ヒガサイ」と変換されます. 複雑な例を挙げてみると, 「西日暮里(ニシニッポリ)」は「ナイサイナイッポライ」と変換されます. 早口で「ナイサイナイッポライ」と言ってみると実際に「ニシニッポリ」と聞こえます. 聞こえるだろ?

 

それでは, この魔剤語法の仕組みを紐解いて行きましょう.

「マジ」をローマ字表記してみると"MAZI"になります. これに対し「魔剤」をローマ字表記すると"MAZAI"になります. これが散々引っ張ってきた魔剤語法の唯一にして絶対の仕組みです.

これを数学っぽく言ってみると次のようになります;

 日本語全体の集合を  J  とする.  J の任意の要素  j を取ったとき, 次の手順を取る;

手順1.  j をローマ字表記にする.

手順2.  j のローマ字表記したアルファベットの列のうち, "i"が含まれていればそれを"ai"に置き換える. 

手順3. 手順2で置き換えたものを再び日本語表記(カタカナ)にする.

こうして得られた日本語を  f(j) とする.

 このように決めた日本語から日本語への対応  f はほんの少し条件を加えれば写像になります. その条件とはローマ字表記の仕方についてです. ローマ字にはヘボン式などの規格がありますが, これを訓令式に固定することで上の手順1においてローマ字表記の仕方が一通りに定まります. 逆にローマ字表記からカタカナ表記への仕方も一意的です. これによって魔剤語法の対応  f写像であることがわかりました.

なお, ヘボン式と混用すると表記の仕方が複数通り出てきてしまい, 写像になりません.

ちなみに, ローマ字表記をヘボン式で固定することでも写像にはなるのですがぼくたちの思っている魔剤語法とはなりません(ヘボン式の場合, 「マシ」→「MASHI」→「MASHAI」→「マシャイ」となり, なんか違う感じになります). 

 

4. 終わりに

とまあ, 関数と写像についてのうっすいお話と魔剤語法の写像としての見方をざっくり書いてみましたが, こんなもんで写像について理解した気にならないでください. 本来もっと身につけるべき内容は例えば次の本などに載っています.

 

論理・集合・数学語 (共立講座 数学探検 第 3巻)

論理・集合・数学語 (共立講座 数学探検 第 3巻)

 

 タイトルどおり論理や集合, 写像などについて易しい語り口で解説してくれています. 前半では数学で頻繁に使われる記号や言い回し, 用語についても解説してくれているので大学新入生はこれを読んどいたら数学の勉強をしてる最中に本筋とは関係ないところで詰まることはなくなると思います.

 

集合と位相 (数学シリーズ)

集合と位相 (数学シリーズ)

 

 こっちの本は用語などの丁寧丁寧丁寧な説明はありませんが, 肝心の集合と写像については十分わかりやすいです. また, この先必ず使うことになる位相空間についても実用的な部分まできちんとカバーしてくれているので長い目で見るとよりお世話になるのはこっちかもしれない.

 

集合・位相入門

集合・位相入門

 

これも集合と位相空間で有名な一冊. 個人的にはこの本は初学者がいきなりこの本に取り組むのはちょっとキツイんじゃないかなあと思っています.  というかぼくには合いませんでした. 内田さんの本と見比べて気に入った方を読んだらいいと思います.

 

こんな感じで, 魔剤語法を通じて関数, 写像をうすーく見つめるクソ記事でした. 数学科の新入生はまず集合と論理, 写像について勉強しよう!

より一般のミンコフスキーの不等式(Minkowski inequality integral form)

前回の記事をもって一段落したので, 時期も時期なので新入生向けのゆるーい記事でも書こうかと思ったのですが, 今日あった関数解析の講義でふと思い出したのでより一般のMinkowskiの不等式について書いておこうと思います. 日本語での記事があまり見受けられなかったので未来の有望な解析学マンに向けて残しておきます. 英語ではタイトルにもあるとおりMinkowski inequality integral formとか呼ばれています. WikiにはMinkowski’s integral inequalityと書かれています(Minkowski inequality - Wikipedia).

 

 Theorem (Minkowski inequality integral form)

 (\Omega_1, \mu_1),\ (\Omega_2,\mu_2) を測度空間とし, その直積測度空間を  (\Omega_1 \times \Omega_2, \mu) とする. 

 1 \le p \lt \infty \Omega_1 \times \Omega_2 上の可測関数  f(x,y) に対して, 次が成り立つ;

\begin{eqnarray}
\left(\int_{\Omega_2} \left\{\int_{\Omega_1} |f(x,y)|\ d\mu_1 \right\}^p\ d\mu_2 \right)^\frac{1}{p}
\le \int_{\Omega_1} \left\{\int_{\Omega_2} |f(x,y)|^p\ d\mu_2 \right\}^\frac{1}{p}\ d\mu_1 .
\end{eqnarray}

 Proof. 

 p = 1 の場合はFubiniの定理より明らかなので,  1\lt p \lt \infty とする.

 F(y) := \int_{\Omega_1}|f(x,y)|\ d\mu_1 とすると,  F(y) は可測関数である.

 F(y) \Omega_2 のほとんど至るところで  0 であるとするとほとんど至るところで  f(x,y) = 0 であるから題意は明らかなので, そうでないとすれば, 

\begin{eqnarray}
\int_{\Omega_2} F(y)^p\ d\mu_2 &=& \int_{\Omega_2} F(y)^{p-1}\left(\int_{\Omega_1}|f(x,y)|\ d\mu_1 \right)\ d\mu_2 \\
&=& \int_{\Omega_2}\left(\int_{\Omega_1} F(y)^{p-1} |f(x,y)|\ d\mu_1 \right)\ d\mu_2 \\
&=& \int_{\Omega_1} \left(\int_{\Omega_2} F(y)^{p-1}|f(x,y)|\ d\mu_2 \right)\ d\mu_1 \\
&\le& \int_{\Omega_1} \left(\int_{\Omega_2} |f(x,y)|^p\ d\mu_2 \right)^\frac{1}{p} \left(\int_{\Omega_2}F(y)^{q(p-1)}\ d\mu_2 \right)^\frac{1}{q}\ d\mu_1.
\end{eqnarray}

ただし  q p の共役指数( 1/p + 1/q = 1) である.

(※ 2~3行目でFubiniの定理, 3~4行目でHölderの不等式を用いた)

上式の右辺について,  q(p-1) = p であることと,  \int_{\Omega_2} F(y)^p\ d\mu_2 x について定数である. 従って上式の両辺を \left(\int_{\Omega_2}F(y)^p\ d\mu_2 \right)^\frac{1}{q} で割ると結論を得る. □

 

今までさんざん取り扱ってきたmollifierの話の中でしばしば畳み込みが絡んできますが, この不等式を用いることで証明が一部簡略化することができます. しかし具体的にどこで適用できたか忘れてしまったのでこの記事を読んだ方, 適用したら教えてください.

また, なにかしらの不備があった場合にも教えていただけると幸いです.

 

冒頭に少しだけ触れた新入生向けの記事は, 集合と関数, 写像について書こうかなーとぼんやり思ってました. ぼく自身がかつて新入生として大学に入った時に最初に習った微分積分線形代数で当時よくわからないまま扱っていた思い出があるからですね. (実際書くかはわから)ないです.

解析について書くとすれば筆頭に上がるのはRademacherの定理とかですかね. 証明が少しだけ長いので悩むんですけどね~.

 

今回はこの辺で終わりにしとこうと思います.

ようやく示す変分法の基本原理

また間が空いてしまいましたが, 散々引っ張ってきた定理の証明をやっていきましょう.

 

Theorem3(変分法の基本原理)

 \Omega \subset \mathbb{R}^N を開集合,  f \in L_\text{loc}^1(\Omega) とする. このとき  f が任意の  \varphi \in C_0^\infty(\Omega) に対して

\begin{eqnarray}
\int_\Omega f(x)\varphi(x)\ dx = 0
\end{eqnarray}

が成り立つならば,  f(x) = 0\ (\text{a.e. }x \in \Omega) である.

 

 Proof. 

・Step1 ( f \in L^1(\Omega) の場合を示せば十分なこと)

まず,  n \in \mathbb{N} として集合  \Omega_n を 

\begin{eqnarray}
\Omega_n := \{x \in \Omega\ ;\ d(x,\Omega^C)\gt 1/n,\ |x|\lt n \}
\end{eqnarray}

と定める. ただし,  d(x,\Omega^C) := \inf\{d(x,y)\ ;\ y \in \Omega^C \} (点と集合の距離)である.  まず定義から  \Omega = \bigcup_{n=1}^\infty \Omega_n である. また, 任意の  n \in \mathbb{N} に対して  \overline{\Omega_n} \subset \Omega であったから, 仮定より  f \in L^1(\Omega_n) である. 各  \Omega_n 上で f(x) =0 となることが言えれば題意を示せるから, これより初めから  f \in L^1(\Omega) の場合についてのみ示せば十分である.

・step2 ( L^1(\Omega) の元に対する証明)

 \{\rho_\varepsilon\}_{\varepsilon \gt 0} をmollifierとすると,  n \in \mathbb{N} に対して

\begin{eqnarray}
\widetilde{\Omega}_{n_0} := \{x \in \Omega\ ;\ d(x,\Omega^C) \gt 1/n_0 \}
\end{eqnarray}

と定める.  x \in \widetilde{\Omega}_{n_0} ならば  n \gt n_0 なる自然数 n について,  \rho_{1/n}(x-y) y の関数として  C_0^\infty(\Omega) の元と見なせる. よって仮定から

\begin{eqnarray}
(\rho_{1/n} \ast f)(x) &=& \int_\Omega \rho_{1/n}(x-y)f(y)\ dy \\
&=& 0\ (x \in \widetilde{\Omega}_{n_0}).
\end{eqnarray}

一方,  f(x) = 0\ (x \in \Omega) として  f \in L^1(\mathbb{R}^N) と見なしてTheorem2を用いると

\begin{eqnarray}
||\rho_{1/n} \ast f - f||_{L^1(\widetilde{\Omega}_{n_0})} &\le& ||\rho_{1/n} \ast f - f ||_{L^1(\mathbb{R}^N)} \\
&\to& 0\ (\text{as } n \to \infty).
\end{eqnarray}

 よって  f(x) = 0\ (\text{a.e. }x \in \widetilde{\Omega}_{n_0}) である.

 \Omega = \bigcup_{n_0 = 1}^\infty \widetilde{\Omega}_{n_0} であるから,  f(x) = 0\ (\text{a.e. }x \in \Omega).  □

 

 とまあ, こんな感じで無事に証明がなされました. 前々回に示したmollifierの性質をフルに活かすことでとても便利な定理がわかるんですねえ. 解析力学などの物理の一部の本には「 \varphi \in C_0^\infty(\Omega) は任意なので...」と一言添えるだけですんなり納得させがち(最も, 物理の場合は"任意の連続関数"としていることがほとんどのように思えますが)なことをきちんと数学的に正当化できることは大きなメリットだと思います.

数学的にも, 超関数の微分が一意的であることがまさに変分法の基本原理の主張そのものだったりして, とても有用です. これを読んでくれた方はぜひ変分法の基本原理という解析学の強力な定理を使って数学ライフをエンジョイしましょう!

 

ところで, 数学についてこのブログでこれから書いてくことがなくなってしまったのですがどうしましょうかねえ. 積分論や測度論は大事だけどここで書くにはちょっとしんどいし, このまま関数解析についての内容を垂れ流すだけでも(楽しいけど)単調でつまらないと思うので, まあなんかしら考えてみます. アホみたいなプライベートを書いてもいいと思うんですがきらびやかさがなさすぎて自分で悲しくなるんで控えめにしておきます.

局所可積分性について少しだけ

ちょっと久しぶりの更新になります.

前回の記事で「次こそ変分法の基本原理を示す」といったのですが, その一歩手前として表題にもある通り局所可積分性について少し言及をしておこうと思います. 

Definition (局所可積分)

 \Omega \subset \mathbb{R}^N を開集合とする.  \Omega 上の可測関数  f  \Omega に含まれる任意のコンパクト集合上で可積分であるとき,  f \Omega 上で局所可積分であるという. また, 局所可積分な関数全体の集合を L_\text{loc}^1(\Omega) で表す.

より一般に  1 \le p \lt \infty に対して,

\begin{eqnarray}
L_\text{loc}^p(\Omega) := \{f:\Omega \to \mathbb{C}\ \text{ measurable };\ \forall K \subset \Omega:\text{compact},\ f \in L^p(K) \}
\end{eqnarray}

と定義される. 

 定義から直ちにわかるように,  1 \le p \lt \infty なる任意の  p に対して  L^p(\Omega) \subset L_\text{loc}^p(\Omega) です. 

・・・と, 定義をしたはいいんですけど, 局所可積分性がどのくらい有用なものかがわかりません. ひとまず, 直後に用いる重要な性質をひとつだけ挙げておきます.

 Proposition 

 \Omega \subset \mathbb{R}^N を開集合とする.  1 \le p \lt \infty なる任意の  p に対して,  L^p(\Omega) \subset L_\text{loc}^1(\Omega) である. 

 Proof. 

 f \in L^p(\Omega),  K \subset \Omega\ :\text{compact} とする.  \chi_K K 上の特性関数とすると, Hölderの不等式を用いれば

\begin{eqnarray}
\int_K |f(x)|\ dx &=& \int_\Omega |f(x)\chi_K(x)|\ dx \\
&\le& \left(\int_\Omega |f(x)|^p\ dx \right)^\frac{1}{p} \left(\int_\Omega |\chi_K(x)|^q\ dx \right)^\frac{1}{q} \\
&=& ||f||_{L^p(\Omega)}\left(\int_\Omega\ dx \right)^\frac{1}{q} \\
&=& ||f||_{L^p(\Omega)}\mu(K)^\frac{1}{q} \\
&\lt& \infty.
\end{eqnarray}

 ただし  \mu(K) K のLebesgue測度を表す. □

 

ついでに, これとほとんど同じようにして  L_\text{loc}^p(\Omega) \subset L_\text{loc}^1(\Omega) もわかります.

上の命題が主張していることは「局所可積分であることは多くある可積分性に関する条件の中でも非常に緩いものである」ということです. 11451419198104545893回くらい話題に上がっている変分法の基本原理は, なんと可積分性に関する仮定としてこの局所可積分であることしか仮定していません!要するに汎用性が高いってことですね.

今回はこの辺にしておいて, 本丸の定理は次回たっぷりと扱うことにしましょう. 

mollifierでモリモリ(3 性質2)

こんにちは. 今回も引き続きmollifierの性質を書いていきますよ~性質についてはこの記事で最後になります!

Theorem2   

 \{\rho_\varepsilon \}_{\varepsilon \gt 0} をmollifierとし,  f \in L^p(\mathbb{R}^N)  (1 \le p \lt \infty ) とする. このとき, 

\begin{eqnarray}
||\rho_\varepsilon \ast f - f||_{L^p(\mathbb{R}^N)} \to 0\ \ (\text{as}\ \varepsilon \downarrow 0).
\end{eqnarray}

 Proof.

mollifierの定義より  ||\rho_\varepsilon||_1 = 1 ,  \text{supp}\rho_\varepsilon \subset B(0,\varepsilon) であったから, 

\begin{eqnarray}
|(\rho_\varepsilon \ast f)(x) - f(x)| &=& \left| \int_{\mathbb{R}^N} \rho_\varepsilon(y) \{f(x+y) - f(y) \}\ dy \right| \\
&=& \left|\int_{B(0,\varepsilon)} \rho_\varepsilon(y) \{f(x+y) - f(y) \}\ dy \right| \\
&\le& \left(\int_{B(0, \varepsilon)}\rho_\varepsilon(y)\ dy \right)^\frac{1}{q} \left( \int_{B(0,\varepsilon)} \rho_\varepsilon(y)|f(x+y) - f(y)|^p\ dy \right)^\frac{1}{p} \\
&=& \left(\int_{B(0, \varepsilon)} \rho_\varepsilon(y)|f(x+y) - f(y)|^p\ dy \right)^\frac{1}{p}.
\end{eqnarray}

これより, 

\begin{eqnarray}
||\rho_\varepsilon\ast f - f||_p &\le& \int_{\mathbb{R}^N}\ \left( \int_{B(0, \varepsilon)} \rho_\varepsilon(y)|f(x+y) - f(x)|^p\ dy \right)\ dx \\
&=& \int_{B(0,\varepsilon)} \left( \int_{\mathbb{R}^N} \rho_\varepsilon(y) |f(x+y) - f(x)|^p\ dx \right)\ dy \\
&=& \int_{B(0,\varepsilon)} \rho_\varepsilon(y) ||T_yf - f||_p^p\ dy \\
&\le& \text{sup} \{||T_y f - f||_p^p\ ;\ |y| \lt \varepsilon \}.
\end{eqnarray}

 \varepsilon \to 0 のとき, 右辺は  0 に近づく.□

 

今日はもうひとつ性質を取り上げます. 

Proposition1

{\mathbb{R}^N} 上の可測関数  f が任意の有界閉集合上で可積分であり, ある可測集合  K の外ではa.e.に0であるとする. このとき,  \{ \rho_\varepsilon \}_{\varepsilon \gt 0} をmollifierとすると, 各  \varepsilon \gt 0 に対して,  \text{dist}(x,K) \gt \varepsilon をみたす任意の  x \in \mathbb{R}^N について  (\rho_\varepsilon \ast f)(x) = 0 となる.  

 Proof.

 x \in \mathbb{R}^N \text{dist}(x,K) \gt \varepsilon をみたすとする. このとき  y \in \mathbb{R}^N について, |y-x| \lt \varepsilon ならば  y \notin K である. また,  \text{supp}\rho_\varepsilon \subset B(x,\varepsilon) であったから, 

\begin{eqnarray}
(\rho_\varepsilon \ast f)(x) &=& \int_{\mathbb{R}^N} \rho_\varepsilon(x-y)f(y)\ dy \\
&=& \int_{\{|x-y| \lt \varepsilon \}} \rho_\varepsilon(x-y) f(y)\ dy \\
&=& 0.
\end{eqnarray}

よって示された.□

 

今回からHölderの不等式だとかFubiniの定理だとかはいちいちい言及していません. まあでもきっとこの記事を読んでる人なら十分に行間を埋められるスペックはお持ちだと思うのでぜひよろしくお願いします...

さてこれでようやく準備が整いました. 次回の記事では本題であった変分法の基本原理の証明を与えていきます. 今までよりもほんの少し煩雑な議論が出てきてしまいますがまあなんとかなるでしょう.

あと, ブログのリニューアルの目的が数学の記事をメインに据えたかったっていうのが一番だったんですけど, せっかくなんでほんの少しでもなにかくだらないことを描くかもしれません. Twitterに書くには長すぎるけど興味がある人には読んでもらって共感をもらいたい内容とか. もしそんな記事が出てきたら(興味のある方は)ぜひ読んでいただけたらと思います.

 

mollifierでモリモリ(2 性質その1)

前回の記事に引き続きmollifierについて扱っていきます. 今回は重要な性質をまとめます.

まずは性質のうち, 微分可能性について挙げます.

 Theorem1 

 \{\rho_\varepsilon\}_{\varepsilon \gt 0} をmollifierとし,  f \in L^p(\mathbb{R}^N)  (1 \le p \lt \infty) とする. このとき, 各  \varepsilon \gt 0 を固定したとき,  \rho_\varepsilon f の畳み込み

\begin{eqnarray}
( \rho_\varepsilon \ast f)(x) := \int_{\mathbb{R}^N} \rho_\varepsilon(x-y)f(y)\ dy
\end{eqnarray}

 は \mathbb{R}^N 上の  C^\infty 級関数で,  \alpha \in \mathbb{Z}_+^N に対して  \partial^\alpha( \rho_\varepsilon \ast f) = (\partial^\alpha \rho_\varepsilon) \ast f となる.

 mollifierは日本語ではしばしば軟化子とか呼ばれたりしますが名前の通りの良い性質ですね. 畳み込みが滑らかな近似になってくれるんですねえ. 

一応証明を載せておきます.

Proof.

 1/p + 1/q =1 なる  q \in \mathbb{R} を取る. このときHölderの不等式から

\begin{eqnarray}
|(\rho_\varepsilon \ast f)(x)| &\le& \int_{\mathbb{R}^N} |\rho_\varepsilon(x-y)||f(y)|\ dy \\
&\le& ||f||_p\left( \int_{\mathbb{R}^N}|\rho_\varepsilon(x-y)|^q dy \right)^\frac{1}{q} .
\end{eqnarray}

右辺の積分は各  x \in \mathbb{R}^N に対して有限の値を取ることから  (\rho_\varepsilon \ast f)(x) は有限の値を取る. 

連続性については,  \check{f}(x) := f(-x),  T_hf(x) := f(x-h) として

\begin{eqnarray}
\left|(\rho_\varepsilon \ast f)(x) - (\rho_\varepsilon \ast f)(x') \right| &=& \left| \int_{\mathbb{R}^N} \rho_\varepsilon(y)\{\check{f}(y-x) - \check{f}(y-x') \} \ dy\ \right| \\
&\le& ||\rho_\varepsilon||_q || T_x\check{f} -  T_{x'}\check{f}||_p
 \end{eqnarray}

 となるから, Lebesgue積分の不変性を用いることでわかる. 

次に  \rho_\varepsilon \ast f微分可能性を見る. 各  i(=1,\cdots,N) に対して  e_i を第  i 成分方向単位ベクトルとし,  t \in \mathbb{R}\backslash\{0\} とする. このとき, 

\begin{eqnarray}
\frac{1}{t} \{ (\rho_\varepsilon \ast f)(x + te_i) - (\rho_\varepsilon \ast f)(x) \} = \int_{\mathbb{R}^N} \frac{\rho_\varepsilon(x+te_i-y) - \rho_\varepsilon(x-y)}{t}f(y)\ dy .\tag{#}
\end{eqnarray}

 ここで, 各x \in \mathbb{R}^N,  \varepsilon \gt 0 について,  0 \lt |t| \le 1 の範囲ではmollifierの定義から  |x-y| \gt 1+\varepsilon なる任意の  y \in \mathbb{R}^N に対して  \rho_\varepsilon(x+te_i-y) = \rho_\varepsilon(x-y) =0 である. これより (#) の右辺の積分範囲は  B(x,1+\varepsilon)  としてよい. 

また, 平均値の定理から

\begin{eqnarray}
\left| \frac{\rho_\varepsilon(x+te_i -y) - \rho_\varepsilon(x-y)}{t} \right| \le \max \left\{ \left| \frac{\partial\rho_\varepsilon}{\partial x_i}(z) \right| ; |z-x| \le 1+\varepsilon \right\}.
\end{eqnarray}

であるから, 導関数の定義とLebesgueの優収束定理を用いれば, 

\begin{eqnarray}
\lim_{t \to 0}\frac{1}{t}\{(\rho_\varepsilon \ast f)(x +te_i)- (\rho_\varepsilon \ast f)(x) \} &=& \int_{\mathbb{R}^N} \frac{\partial \rho_\varepsilon}{\partial x_i}(x-y)f(y)\ dy \\
&=& ((\partial_i \rho_\varepsilon) \ast f)(x).
\end{eqnarray}

ここで,  \partial_i \rho_\varepsilon もまた  C^\infty 級であり,  \text{supp}(\partial_i \rho_\varepsilon) \subset B(0,\varepsilon) であるから, 上の議論を繰り返すことができて, それより  \rho_\varepsilon \ast f C^\infty 級であり,  \partial^\alpha (\rho_\varepsilon \ast f) = (\partial^\alpha \rho_\varepsilon)\ast f がわかる. □ 

不変性など, Lebesgue積分特有の性質を使って証明してるのは味わい深いです. 微分可能性については積分論の本などで積分記号下での微分について読んだことがある方ならもう少し簡略化できるかと思います. あとは畳み込みについても詳細な説明は省いていますが, ここではきちんと有限の値として存在していることを冒頭で示しているので許してください.

少しずつだけどはてなブログで数式を書くのにも慣れてきました. 次回はmollifierとの畳み込みが L^p(\mathbb{R}^N) の関数を近似する性質について書きます. あと, 間違ってたらこっそり教えてください