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シャンのいろいろ2

リニューアルしました

サクッと見直すRiemann積分とLebesgue積分のつながり

前回があまりにもクソみたいな話だったので, 今回は少しは実用的な話をしようと思います.

解析学が得意なフレンズはよく使っていらっしゃるでしょうLebesgue積分なのですが, ふとしたときにRiemann積分を思い出すときもありますよね?もちろんRiemann積分のアイデアは他の概念にも応用できるポイントを多く含んでるので, 優劣をつけるというのはナンセンスだと思いますが, やはり通常の関数についてのLebesgue積分は狭義Riemann積分の完全な拡張になっているのは事実です. 

そこで今回はそんな事実, Lebesgue積分が狭義Riemann積分の拡張になっていることを復習していきたいと思います. 

 

一般の \mathbb{R}^N についてもほぼ同様に議論ができるため, 1次元で考えていきます.

区別と便宜のため, 有界区間  I = [a,b] 上の 関数  f(x) の  I 上におけるRiemann積分およびLebesgue積分をそれぞれ

\begin{eqnarray}
\text{R}\int f (x)\ dx, \ \ \text{L} \int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

と書くことにしましょう. また, 以下では常に積分範囲は  I 上であるものとし, 単にRiemann積分可能と言ったら狭義Riemann積分可能であることを指すこととします.

まず, ここで用いるRiemann積分について成り立つ事実を記号の確認も兼ねて復習しておきます.

Review 

 f(x) がRiemann積分可能であれば  f有界である. そこで m:= \inf_{x \in I} f(x),  M:= \sup_{x \in I}f(x) としておく.

区間  I n 等分した点を

\begin{eqnarray}
a=a_{n,0}<a_{n,1}<\cdots<a_{n,n-1}<a_{n,n}=b
\end{eqnarray}

として, 各  k=1,\cdots,n について  [a_{n,k-1},a_{n,k}] における  f の上限, 下限をそれぞれ  M_{n,k},  m_{n,k} とする. 更に

\begin{eqnarray}
s_n:=\sum_{k=1}^n m_{n,k}\frac{b-a}{n},\ \ S_n:= \sum_{k=1}^n M_{n,k}\frac{b-a}{n}
\end{eqnarray}

とすれば, このとき

\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty}s_n = \lim_{n \to \infty}S_n = \text{R}\int f(x)\ dx.
\end{eqnarray}

 以下,  f をRiemann積分可能とします. これがLebesgue積分可能であることを示すために, 次のようなある種"ズルい"関数 \varphi_n,  \psi_nを用意します.

\begin{eqnarray}
\varphi_n(a) := f(a),\ \varphi_n(x) := m_{n,k}\ (a_{n,k - 1} < x \le a_{n,k}), \\ \psi_n(a)  := f(a),\ \psi_n(x) := M_{n,k}\ (a_{n,k - 1} < x \le a_{n,k}).
\end{eqnarray}

 定義をよく見てみれば  \varphi_n,  \psi_n は次の性質を持ちます.

  •  \varphi_n(x) \psi_n(x) はBorel可測.これより特にLebesgue可測. 
  •  x \in I について  m \le \varphi_n(x) \le f(x) \le \psi_n(x) \le M.
  •  x \in I について,  \{\varphi_n(x)\}_{n=1}^\infty と  \{\psi_n(x)\}_{n=1}^\infty はそれぞれ単調増加, 単調減少.

これにより,  \displaystyle \varphi(x) := \lim_{n \to \infty}\varphi_n(x),\ \psi(x) := \lim_{n \to \infty} \psi_n(x)が存在し, 任意の  n \in \mathbb{N},\ x \in I に対して

\begin{eqnarray}
m \le \varphi_n(x) \le \varphi(x) \le f(x) \le \psi(x) \le \psi_n(x) \le M \tag{#}
\end{eqnarray}

 が成り立ちます. 

この不等式から \varphi_n,  \psi_n,  \varphi,  \psi はどれもLebesgue積分可能だということがわかります.

ここで, Lebesgue積分の強力な飛び道具である単調収束定理を用いれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \varphi(x)\ dx = \lim_{n \to \infty} \text{L}\int \varphi_n(x)\ dx, \\
\text{L}\int \psi(x)\ dx = \lim_{n \to \infty} \text{L}\int \psi_n(x)\ dx
\end{eqnarray}

がわかります.

一方, 定義に基づいて計算すれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \varphi_n(x)\ dx = s_n,\ \text{L}\int \psi_n(x)\ dx = S_n \tag{##}
\end{eqnarray}

となります.  f はRiemann積分可能であったことを思い出せば  \displaystyle \lim_{n \to \infty}s_n = \lim_{n \to \infty}S_n だったので,  \varphi_n(x) \le \psi_n(x) も用いれば

\begin{eqnarray}
\text{L}\int \left|\psi(x) - \varphi(x) \right|\ dx &=& \text{L}\int  \{\psi(x) - \varphi(x)  \}\ dx \\
&=& \lim_{n \to \infty}(S_n - s_n) \\
&=& 0.
\end{eqnarray}

このことから  \varphi(x) = \psi(x)\ (\text{a.e. }x \in I) がわかります. 更に  (\text{#}) を見てみれば

\begin{eqnarray}
\varphi(x) = f(x) = \psi(x)\ \text{a.e. }x \in I
\end{eqnarray}

がわかります. 

 \varphi \psi がLebesgue可測であったことから,  f もLebesgue可測であることがわかります.

 更に再び  (\text{#}) (\text{##}) を用いれば, 任意の  n \in \mathbb{N} に対して

\begin{eqnarray}
s_n = \text{L}\int \varphi_n(x) dx \le \text{L} \int f(x)\ dx \le \text{L} \int \psi_n(x)\ dx = S_n
\end{eqnarray}

 が成り立ちますが,  f はRiemann積分可能であったから

\begin{eqnarray}
\lim_{n \to \infty} s_n = \lim_{n \to \infty} S_n = \text{R}\int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

です. 従ってはさみうちの原理から

\begin{eqnarray}
\text{L}\int f (x)\ dx = \text{R} \int f(x)\ dx
\end{eqnarray}

が得られます. つまり, Lebesgue積分は真に(狭義)Riemann積分の拡張になっていることが確かめられました.

 

ここでは有界区間での議論に限定していましたが, 実は無限区間における広義Riemann積分も少しだけ条件を満たしていればきちんとLebesgue積分がその拡張であることが示されます. しかし, Lebesgue積分可能でなくても広義Riemann積分可能であるような関数は少なくないです. 応用上ではDirichlet積分(ディリクレ積分 - Wikipedia)が有名です. また, Lebesgue積分(測度論)の観点からRiemann積分可能であることと同値な条件が「ほとんど至るところ連続である」ことであることがわかります. これについてはまた気が向いたら書こうかと思います.

一気に書いたんで誤字脱字理論的ガバが多くあると思うのでもし気づいていただけたらご指摘くださればと思います...